専門知識を身につけ対象業務を極めると、仕事がリピートします

(専門分野を決めよう)

さて、ここでまた私の話に戻ります。行政書士としての私の仕事戦略は「業務限定型」であるということ。どのようにして仕事を軌道に乗せていったか体験をお話ししましょう。

ご多聞にもれず、私も仕事を始めた頃は苦労しました。私が選んだ対象業種は医薬品製造販売許可と化粧品製造販売許可です。つまりお客様は薬品や化粧品のメーカーです。企業からお仕事をいただかない事には食べてはいかれません。ドラッグストアの店員として社会人経験はあっても、ビジネス慣れっていいますか、企業の慣習に私は不慣れで、それが壁でした。

ネクタイを締め、作ったばかりの行政書士の名刺を持って、医薬品メーカーに営業しなければなりません。相続やビザの申請など個人を対象にしている書士さんなら、自分のホームページを開設してお客様を募るなどの方法もあるのでしょう。でも私の場合、ホームページを作ったところでメーカーさんから仕事をもらえるわけではありません。会社を訪問して、「お仕事をください!」と営業しなければいけません。企業を顧客にして仕事を開拓する行政書士の場合、それだけは避けては通れないところです。

製薬会社の薬事部門にアポ取りの電話を入れて、運よく会っていただけるのは10社のうち1社程度だったと思います。それで先方を訪ねてもすぐに仕事に結び付くわけではありません。開業当初はホントに辛かったです。しかしこういうことは“縁もの”だといのが私の実感です。たしか8社目の面談だったと思います。先方から「ペット用の医薬部外品の申請書類をやってみます?」と打診がありました。「やりますやります!ぜひお願いします…」。それはもう二つ返事でした。

その時の記憶はいまでも鮮明ですが、行政書士としての私の初仕事は「犬猫用シャンプー」でした。クロルヘキシジン、細菌・真菌・ウィルスなどへの抗菌作用…。ほかの行政書士には「なんのことやら」という感じでしょうけど、私には馴染みのある世界です。

私は丁寧に書類を仕上げ(初回は緊張もあり時間も掛ります)、無事申請を通過させることができました。それからしばらく時間は空いたものの、先方の担当者からまた新しい仕事の依頼がありました。それも納めてまた次の仕事、そしてまた次の仕事…。犬猫用シャンプーから1年が過ぎた頃には、気がつけばその製薬会社さんの仕事をこなすだけでもうパツパツになっていました。いやぁ、本当にもう助かりました。

行政書士を「業務限定型」で展開する場合のポイントはこうです。何かしら専門分野を持っていること。まったく専門家というわけではなくても、該当分野にカンが働くのなら、それを頼りに仕事をしながらひたすら勉強を続ければ問題ありません。「業務限定型」のメリットは仕事がリピートすることです。営業が大変なのは最初のうちだけです。ですからどちらかといえば営業が苦手の私でも、十分通用しているのだと思います。

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>>特集ページ「行政書士の仕事の具体例」(提供:フォーサイト)