「業務限定型」か「幕の内弁当型」。それぞれの魅力と大変な点

(「業務限定型」か「幕の内弁当型」か?)

それでは行政書士の仕事を総括してみましょう。私がこの世界を見るかぎり、開業パターンは、(1)「業務限定型」、(2)「幕の内弁当型」の2つです。
どちらにも魅力と大変な面がそれぞれあります。

●「業務限定型」の人には、その分野の勉強が一生続きます。
私のように「業務限定型」を採る場合、仕事の実務では相応の専門知識を磨くことが求められます。それは電気工事に強いとか、コンピュータのプログラムに強いとか、音楽やCGデザインなどの著作権に強いとか、そういうことです。想像ですがプログラムの著作権などは、ITの世界の進化の早さを考えますと勉強を続けるのが本当に大変だと思います。でもそのことがかえって向上心をそそる?ともかくも本当にその分野のことが好で仕事をすることが大事です。

それから「業務限定型」の場合専門知識を問われますので、他者に仕事を振ることはそう簡単にはできません。私の場合ですと、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒプロメロース、サルファ剤…。仕事とはいえ、もしそういうことを誰かに教えなければならないとしたら、私はきっと目まいがするでしょう。ですから受けた仕事はすべて自分のキャパの範囲で行うことになります。仕事がリピートしますので収入はかなりの額になりますが、それでも一人仕事になりますのでやはり限界はありますね。


●対象業務を広く採る「幕の内弁当型」では、攻めの姿勢を忘れないこと。
対象業務を幅広く採るのでしたら、先々事務所を広げることを想定していた方が夢も広がりますし仕事もまわしやすいと思います。アシスタント5名、10名とは言いません。あなたが男性でご結婚されているのでしたら、奥さんにアシスタントをお願いして事務所を切り盛りするのも堅実でしょう。

「幕の内弁当型」にはなぜ、アシスタントを置いた方がいいかといえば、それはお仕事依頼の調整役が必要だからです。事務所の電話を携帯電話に転送して、外出の途中でも商談…。そういう機動力も大切かもしれませんが、一人で何年もそのスタイルを続けるのは大変だと思います。

また、「幕の内弁当型」では攻めの姿勢を継続することも大切です。たとえば自分がパソコンで作ったチラシをポスティングするとか、そういう地道な種まきも大切なんです。その点は一般業種の開業者(経営者)となんら変わりません。だからこそ、そこには自分の城といいますか、事務所を大きくしていく面白さがあるわけです。


蛇足かもしれませんが、「業務限定型」と「幕の内弁当型」の混合型では、おそらく仕事は上手くいかない気がします。それは小売業や飲食などの世界を思い浮かべてみても容易に想像がつくでしょう。1ブランドのみで勝負をするのか、品揃えが豊富な百貨店や大衆食堂のやり方を選ぶのか。世の中の商売の成功パターンは、つねにどちらかの両極にあるのです。

まだ行政書士を目指そうかどうか考えている段階なのに“もうお腹いっぱい!”って感じですか?でもこのことは大事なことなので押さえておいてください。ただ憧れだけで資格を取得しても、開業後の仕事が上手くいくことはありません。

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